営業活動の中で、お客様から「これだけは譲れない」という厳しい条件を提示された経験はありませんか?
「なんとか応えたい」と奔走する一方で、取引が長くなったり状況が変わったりすると、つい目先の利益や都合を優先して「一線」を越えてしまいそうになる瞬間があるものです。しかし、その一瞬の迷いがすべてを台無しにしてしまうことも……。
今回は、『決定版まんが日本昔ばなし101』に登場する昔話『うぐいす長者』のあらすじと教訓を交えながら、ビジネスにおいて「最初の条件」を維持し続けることの重要性と、万が一の条件見直しの鉄則について、リアルな営業の失敗談をベースに紐解きます。
昔話『うぐいす長者』のあらすじとビジネスに響く教訓
『うぐいす長者』という民話をご存じでしょうか?
「うぐいす長者※1」
のあらすじは、ある商人は、商品がまったく売れなかったのに、商品を全部買って貰い、その家の娘さんとも婚姻して幸せな暮らしを送る中、一つの約束を破ったためにすべてを失った話です。
※1出典:川内彩友美 著 「決定版まんが日本昔ばなし101」P108 発行所:株式会社講談社
ここでの教訓は初めに出された条件は必ず守るということです。
営業現場で試される「一線を越えてはいけない条件」
たとえば、営業でこんな経験はないだろうか?
お客様から商品を購入にあたって、いくつか制限があって、一線を越えてはいけない条件を提示されたとします。
お客様の条件に合う商品を様々な角度から調査しますよね。品質、納期、在庫状況、受注生産なのか、保証、価格、仕入れ条件など、多角的な視点で商品を吟味します。
その中から、1点を選びお客様へご提案します。
調査の結果、こちらの商品をおすすめします。
もちろんお客様の条件にあっていました。
お客様は、快く受け入れてくれました。
似たような案件は意外と連続で続き別のお客様からも同様の条件で購入していただきました。
利益の誘惑と在庫切れ:良心的な営業マンを狂わせる罠
さらに半年後、当初のお客様からも、リピートがあり、さっそく、調査するものの在庫切れとなっていました。
やむを得ず、別の商品を探します。この時です。試されるのは、別の商品を探したところ、価格も安く、儲けはそこそこ、と価格は高いけど、儲け幅も多いという商品です。
良心的な営業なら前者を選びます。残念ながら後者を選び、お客様にご提案しました。
当然、当初の条件からも外れてしまい、採用には至らず、見送りなったのです。
ーー後日談ーー
応接室のガラステーブル。こちらが提出した、見積金額の高い提案書が中央に置かれている。お客様の担当者は眼鏡の奥の視線を動かさず、手元の資料を1枚だけめくる。部屋のエアコンのインバーター音が低く響く。担当者はペンを胸ポケットに差し込み、提案書をゆっくりと閉じる。両手でそれをこちらへ押し戻し、小さく首を振る。「今回の件は見送らせてください」の一言。席を立つ担当者の背中を見送る。テーブルの上には、一線を越えてしまった数字の並ぶ紙束だけが残されている。
なぜ失注したのか?「最初の条件」を見失った営業の末路
どこが条件に合わなかったのか、当時は皆目見当がつかず、わかりませんでした。
今、思えば、一線を越えてはいけない条件を満たしていませんでした。
まとめ:状況変化に合わせた「条件維持」と「見直し」の判断基準
お客様が提示した最初の条件を満たしていれば、商売は成立していました。ところが、状況も変われば仕入れ先の条件も変わります。ここで、お客様との条件を維持するのか、あるいは、お客様との条件を見直していただくのか、判断をお客様了承のもとで条件の見直しを検討しましょう。

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